内容紹介
小説の舞台は,江戸時代前期の信州・佐久原藩。傲慢な筆頭家老を義憤のあまり斬った権之進は,妻子を親友・金太夫に託して逐電する。数年後、筆頭家老家の悪事を探っていた金太夫に「権之進を討て」との藩命が下る。 主命に従えば無二の友を斬らねばならぬ。友への信を貫けば主君に背くこととなる。守るべきは主君への忠義か,友との信義か。一方で、徐々に明らかとなる家老の数々の悪政に憤りが募る。
さらに,親友の妻は若き日に恋焦がれた人でもあった。討ち取れなければ,旅は終わらない。葛藤に苦しむ武士たちによる究極の選択とは―? 自らの命を盾に,信義に生き抜く真の「侠者」たちの物語。時代考証や古来信州の風物も多彩に織り交ぜている。
目次(内容と構成)
目次
第一章 逐電
第二章 疑惑
第三章 上意
第四章 悪弊
第五章 証
第六章 再会
第七章 俠者