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新刊

ー衛星データでわかったエジプト・中国古代文明ー

宇宙考古学への招待

著者・編者 編著 惠多谷 雅弘 監修 鶴間 和幸,村松 弘一,長谷川 奏
判型 B5判
ページ数 208ページ
定価(税込) 2,750円
ISBNコード 978-4-389-50160-0
発行年月日 2025/04/11

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内容紹介

宇宙からの眼で、古代の都市や遺跡、当時の環境を探ることで、時間を越えた世界を見ることが容易になってきた。
「宇宙考古学」と呼ばれる地球観測技術で解き明かされた古代エジプト、古代中国の研究成果を、第一線の研究者たちが熱く語り明かす。

目次(内容と構成)

序 宇宙考古学への招待

画像ギャラリー
1 調査地域マップ
2 衛星データで発見した古代エジプト遺跡「Site No.35」と出土物例
(エジプト・ダハシュール)
3 ピラミッドと大スフィンクス(エジプト・ギザ)
4 王家の谷とディル・エル=バハリ(エジプト・ルクソール)
5 ナイルデルタの環境変動(エジプト・ブハイラ県)
6 ダム建設によるナイル川の変化(エジプト・アスワーン)
7 福建土楼(中国・福建省)
8 西安周辺の主な遺跡(中国・陝西省)
9 秦漢長城(中国・内モンゴル自治区)
10 関中平原の皇帝陵(中国・陝西省)

Chapter1.吉村作治×鶴間和幸:対談
宇宙考古学セミナー★宇宙と地下からのメッセージ
「古代エジプト×古代中国〜共通性を探る」
Chapter2.宇宙考古学の予備知識
2.1 リモートセンシングとは(中島 孝)
2.1.1 リモートセンシングの仕組
2.1.2 リモートセンシングのセンサ
2.1.3 衛星の軌道
2.2 電磁波(光)とリモートセンシング(中島 孝)
2.2.1 電磁波とは
2.2.2 分光反射率
2.3 観測データの前処理(中島 孝)
2.3.1 大気の影響の補正
2.3.2 幾何学的歪みの補正
2.4 宇宙考古学で使われる主な衛星データ(惠多谷 雅弘)
2.4.1 TerraとAqua
2.4.2 Landsat
2.4.3 Sentinel
2.4.4 CORONA
2.4.5 WorldView
2.4.6 合成開口レーダSAR
2.4.7 数値標高データSRTM/DEM
【COLUMN 1】立体視と三次元画像解析(惠多谷 雅弘)
2.5 衛星リモートセンシングにおける画像処理の重要性(中野 良志)
2.5.1 基本技術1:カラー合成と画像の調整
【COLUMN 2】画像つなぎ合わせ(中野 良志)
2.5.2 基本技術2:スペクトルバンドの組み合わせとバンド間演算処理
【COLUMN 3】機械による分類・識別と土地被覆図の作成(福江 潔也)
2.6 グランド・トゥルース(惠多谷 雅弘)
【COLUMN 4】スペクトル計測とGPSの活用(惠多谷 雅弘)

Chapter3.宇宙考古学とは
3.1 日本におけるリモートセンシング史(惠多谷 雅弘)
3.2 宇宙考古学のはじまり(惠多谷 雅弘)
【COLUMN 5】古文化財の科学的調査と宇宙考古学(惠多谷 雅弘)
3.3 未知遺跡の探査(惠多谷 雅弘)
【COLUMN 6】モンゴル草原の遺跡探査(惠多谷 雅弘)
3.4 古環境の推定(惠多谷 雅弘)
【COLUMN 7】始皇帝の時代の洞庭湖の景観(鶴間 和幸)
3.5 宇宙考古学の方法論と研究テーマ(惠多谷 雅弘)

Chapter4.砂漠・乾燥地の遺跡調査
4.1 シルクロードの調査(惠多谷 雅弘)
4.1.1 シルクロードマップ
4.1.2 中国・青海省における漢から唐代のシルクロード研究
【COLUMN 8】シルクロード(村松 弘一)
4.1.3 四川省における南方シルクロードの研究
4.2 古代エジプト遺跡「Site No.35(ダハシュール北遺跡)」の発見
4.2.1 宇宙考古学の幕開け(吉村 作治)
4.2.2 エジプトにおける考古学調査の歴史(長谷川 奏)
【COLUMN 9】ダハシュール湖畔から見るピラミッド(惠多谷 雅弘)
4.2.3 未発見遺跡の有望地点選定(惠多谷 雅弘)
4.2.4 発掘調査地点の決定(惠多谷 雅弘)
4.2.5 Site No.35「ダハシュール北遺跡」の発掘調査のはじまり(長谷川 奏)
【COLUMN 10】砂嵐の来襲(惠多谷 雅弘)
4.3 地中遺跡の探査(惠多谷 雅弘)
4.3.1 衛星搭載SARの地中透過性
【COLUMN 11】エジプトの研究協力機関NARSS
(El-Sayed Abbas Zaghloul・惠多谷 雅弘)
4.3.2 SIR-Cによる古代エジプト遺跡Site No.39の検出

Chapter5.港・河川流域の遺跡調査
5.1 ナイルデルタの調査
5.1.1 調査概要(長谷川 奏)
5.1.2 丘陵遺跡Site No.52の発見(惠多谷 雅弘)
【COLUMN 12】ナイルデルタでの調査用車両(惠多谷 雅弘)
5.2 東アジア海文明の調査:都城遺跡の立地環境調査
5.2.1 調査概要(福島 恵)
5.2.2 時系列衛星データと地形データの活用(惠多谷 雅弘)
【COLUMN 13】古地図(福島 恵)
5.3 黄河古河道復元と県城遺跡(長谷川 順二)
5.3.1 移動を繰り返す黄河
5.3.2 黄河古河道と県城遺跡
5.3.3 戚城
5.3.4 郛堤城
5.3.5 地形データSRTM-DEMとの比較
5.3.6 従来研究との比較

Chapter6.都城と皇帝陵の立地調査:秦〜唐代・長安城
6.1 秦始皇帝陵の建造計画(惠多谷 雅弘)
6.1.1 遺跡データベースの構築
6.1.2 秦始皇帝陵の立地環境検討
【COLUMN 14】秦の始皇帝(鶴間 和幸)
6.2 咸陽城と長安城の分布(鶴間 和幸)

Chapter7.史料と解く遺跡調査
7.1 秦帝国の空間的考察
7.1.1 秦の東門と秦帝国の空間整備(村松 弘一)
7.1.2 秦帝国の方位概念(惠多谷 雅弘)
【COLUMN 15】中国の方位(村松 弘一)
7.1.3 秦の東門(惠多谷 雅弘)
7.1.4 秦の西門〜秦の祖先と始皇帝をつなぐ道(村松 弘一)
7.1.5 秦の北門〜直道の北端(村松 弘一・惠多谷 雅弘)
7.1.6 秦帝国のグランドプラン実現の可能性について(惠多谷 雅弘)
7.2 歴史資料を用いた秦東門考察
7.2.1 秦東門の歴史資料検討(惠多谷 雅弘・村松 弘一・福島 恵)
7.2.2 『太平寰宇記』の里程(惠多谷 雅弘・村松 弘一・福島 恵)
7.2.3 胊県と植石廟(惠多谷 雅弘)
7.2.4 秦東門の有望地点Site A(惠多谷 雅弘)
7.2.5 リモートセンシングと古代史研究(惠多谷 雅弘)
【COLUMN 16】秦東門の古環境考察(村松 弘一)

Chapter8.調査の最前線
8.1 サウジアラビア紅海沿岸調査(長谷川 奏)
8.2 古代ベトナムの都市空間と方位景観(黄 暁芬)
8.2.1 中国古代都市建設の方位の特徴
8.2.2 北部ベトナムに残る古代都市遺跡
8.2.3 中部ベトナムに残る古代都市遺跡
8.2.4 ベトナム古代都市建設の立地景観と方位設定の共通要素
8.3 秦始皇帝の最新研究(鶴間 和幸)
8.3.1 始皇帝陵の墳丘をはさんだ東西の遺跡
8.3.2 秦山島と8番目の始皇帝刻石
8.4 研究者達が語る:座談会「宇宙からの眼で遺跡を解く」

年表(古代エジプトと古代中国)
参考文献
付録:「宇宙考古学を極める」
謝 辞