一般書籍

新刊

歴史教育「シン」入門

歴史総合から日本史探究・世界史探究へ

著者・編者 前川 修一/梨子田 喬 /皆川 雅樹
判型 A5判
ページ数 368ページ
定価(税込) 2,530円
ISBNコード 978-4-389-22609-1
発行年月日 2025/2/17

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内容紹介

『歴史教育「再」入門』から5年 ふりかえり、たちどまり、あらたなステージに いま歴史教育は「シン」入門へ

こんな風に歴史を習いたかった。私たちが習ったものとは全く異なる歴史教育が動き始めている。――佐藤浩章(東京大学教授)
暗記科目から思考科目へ 歴史教育を再定義する対話の書 ――石井英真(京都大学准教授)

本書は,2022年度より始まった新科目〈歴史総合〉と2023年度より始まった新科目〈世界史探究〉〈日本史探究〉について,高等学校の教員,歴史学研究者,教育学研究者など、
様々な立場の方々の現段階での考えを整理するものである。その際,〈世界史探究〉〈日本史探究〉を単独科目としてそれぞれみるのではなく,必修である〈歴史総合〉で学んだ歴史の見方や考え方とのつながり(つなげ方)にも注目してみたい。
 
新科目が始動して以降,歴史教育とどのような「対話」を試みているのか。これを読者のみなさまと共有することで,これからの「シン」(新・真・深・伸・震・進など)の歴史教育のあり方を考えていく。


◆編著者紹介文

前川修一
福岡県立ありあけ新世高等学校 主幹教諭
熊本大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了・修士(文学)

梨子田喬
西大和学園中学校・高等学校 教諭
(元岩手県公立高校教員)
東北大学大学院文学研究科歴史科学専攻博士課程前期修了・修士(文学)

皆川雅樹
産業能率大学経営学部 教授
(元専修大学附属高等学校教諭、法政大学第二中・高等学校特別教諭)
専修大学大学院文学研究科歴史学専攻博士後期課程修了・博士(歴史学)

目次(内容と構成)



歴史教育との「対話」
―歴史総合・日本史探究・世界史探究への「シン」入門(皆川 雅樹)

Ⅰ 学校現場での対話
総論
●「資質・能力時代」のシン科目―世界史探究(梨子田 喬)

●歴史総合をつむぐ日本史探究
―新しい歴史教育への「越境」を目指して(金子 勇太)

各論
●中学社会から歴史総合へ
―中学校までの学びをどう捉えて歴史総合へつなぐのか(苧野 瑞生)

●最後の歴史学習としての歴史総合
―生涯学習と大人への移行の視点から(海上 尚美)

Column
●新課程入試における歴史総合と世界史探究の架橋の意味を考える
―地方公立高校の現場に立つ者として(渡邊 優輔)

●歴史新科目と学校改革(池田 靖章)

●「教師の学びの姿」にまなざしを向ける
―研修の在り方についての一考察(佐藤 悠人)

●大学教職課程における
高校歴史新科目対応の課題(日髙 智彦)

Ⅱ 授業実践との対話
―歴史総合から世界史探究・日本史探究へ

授業実践〈世界史探究〉

大項目A 日常の食からみる世界の歴史
―カカオから考える過去と現在(多々良 穣)

大項目A、B 「世界史へのまなざし」としての人類史
―「進化」への言説を教室で検討するこころみ(矢景 裕子)

大項目B 歴史総合を学んだ生徒は、世界史探究において
いかなる探究活動を行うのか(野々山 新)

大項目C 世界史探究で求めたい読解力
―アステカ王国征服を巡る二つの史料を歴史学的に比較すると(荒井 雅子)

大項目D P×Q=R 世界史探究×歴史総合=大項目E(4)
―歴史総合から大項目E(4)「探究する活動」へとつなげる
 大項目Dの実践(梨子田 喬)

大項目E 国境をこえたプロジェクト型学習
―インドネシアと日本の高校生が遺跡のパンフレットを作成(吉川 牧人)

授業実践〈日本史探究〉

大項目A 古代の国際秩序を考える日本史探究の授業
―華夷秩序と律令国家の形成(小坂 至道)

大項目B 「中世の日本と世界」の授業実践
―蒙古襲来を題材として「日本」を考える(大庭 大輝)

大項目B、C 水は誰のものか
―歴史総合から日本史探究へ(堀越 直樹)

大項目C 日本史を探究するということ
―単元をつらぬく問いを自らたて、探究していく授業実践(金谷 蕗)

大項目D 日露戦争における日本の勝利は、アジア地域にどのような影響を及ぼしたか?(加藤 潤)

大項目D 歴史総合の学びを活かした日本史探究の授業
―OSTを用いた対話型ワークショップの実践(松本 祐也)

Column
●高大連携歴史教育研究会の教材共有サイト2.0の紹介(川島 啓一)

●韓国の歴史教育と「探究」
―現行教科書、大学修学能力試験、そして新科目(平川 敬介)

Focus
●高専社会科公民分野から「探究につなぐ」
視点を考える(山下 大喜)

●地理探究と世界史探究・日本史探究(髙橋 英路)

●古典探究と世界史探究・日本史探究
―古典文学から生まれる〈歴史〉の力(伊藤 禎子)

●理数探究と世界史探究・日本史探究
―私の探究物語(法貴 孝哲)

●総合的な探究の時間と世界史探究、日本史探究の接続
―探究と歴史教育を繋ぐ三つのポイント(中村 怜詞)

Ⅲ 研究者による対話
総論
●歴史総合から世界史探究へ
―世界史探究では何を「探究」すればよいのか?(北村 厚)

●歴史総合から日本史探究、そして大学の歴史教育へ
―転換を迎える高大歴史教育(後藤 敦史)

各論:世界史探究との対話
●世界史探究における中国史・アジア史(丸橋 充拓)

●世界史探究における西洋前近代史分野
―ビザンツ帝国の事例を中心に(仲田 公輔)

●情報化時代の歴史学
―デジタル・ヒストリーと歴史研究(藤川 隆男)

●近代帝国史研究からみた世界史探究(前川 一郎)

各論:日本史探究との対話
●日本史探究は古代社会のジェンダーをどう描くのか(伊集院 葉子)

●日本中世を通観する「問い」への期待(佐藤 雄基)

●日本史探究への期待
―近代初期の地域社会から国民国家を考える(小山 幸伸)

●戦時と戦後の関係性を考える(鬼嶋 淳)

Column
●再帰的問いとしてのパブリック・ヒストリー
―教室・教師・生徒をめぐる困難(徳原 拓哉)


ひとひねりの歴史教育
―結びに代えて(前川 修一)