感染症でまなぶ日本と世界の歴史
ー医学・歴史学とつむぐ歴史総合ー
著者・編者 | 飯島渉、磯谷正行、井上弘樹、古澤美穂 |
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判型 | A5 |
ページ数 | 256ページ |
定価(税込) | 2,530円 |
ISBNコード | 978-4-389-50152-5 |
発行年月日 | 2024/07/25 |
内容紹介
人類史に刻まれた感染症の痕跡は,かくも深かったのか。
COVD-19からエイズを経て日本住血吸虫症まで,感染・発病のメカニズムだけではなく,感染症に映る貧困や差別の歴史が豊富な事例とともに詳述されている。人間と動物,医学と歴史学,日本史と世界史に複数の橋をかける挑戦的な研究法と教育法に,私は知的興奮を禁じえない――藤原 辰史(歴史学者,京都大学人文科学研究所)
■さまざまな視点から歴史をとらえられる13の感染症
・各時代の経済・社会・国際関係や地域での取り組みに言及
・医学・公衆衛生の発展とともに,社会の変化や人々の様子が浮かび上がる
■医学×歴史学×歴史総合(歴史教育)
・医学的な解説,歴史研究の視角や論点をおさえられる
・医学,歴史学の知見もふまえた授業案,教材化の切り口を提示
■豊富な資料
・授業でも活用できる資料を本文中に多数掲載
・基本的な知識を確認できる巻頭の資料・用語集
・WEBサイトで閲覧できるデジタル付録(書籍掲載のURL,二次元コードからアクセスできます)
【章立て・執筆者一覧】
第1章 COVID-19(新型コロナウイルス感染症)
大曲 貴夫 飯島 渉 大房 信幸
第2章 インフルエンザ
林 陽香 西浦 博 鎮目 雅人 伊藤 和彦
第3章 エイズ
門司 和彦 永島 剛 伊藤 和彦
第4章 天然痘
森川 茂 青木 歳幸 古澤 美穂
第5章 結核
和田 崇之 市川 智生 磯谷 正行
第6章 ハンセン病
三木田 馨 廣川 和花 古澤 美穂
第7章 レプトスピラ症
小泉 信夫 高部 響介 菊池 美幸 磯谷 正行
第8章 ペスト
濱田 篤郎 飯島 渉 伊藤 和彦
第9章 コレラ
山城 哲 菊池 美幸 齋藤 健太朗
第10章 マラリア
狩野 繁之 脇村 孝平 大房 信幸
第11章 土壌伝播蠕虫感染症
倉持 利明 井上 弘樹 齋藤 健太朗
第12章 リンパ系フィラリア症
多田 功 市川 智生 磯 寿人
第13章 日本住血吸虫症
千種 雄一 井上 弘樹 遠藤 美樹
デジタル付録
[協力]森保 妙子
■編集委員略歴
飯島 渉(いいじま わたる)
長崎大学熱帯医学研究所教授,附属熱帯医学ミュージアム館長,同大学院熱帯医学・グローバルヘルス研究科教授
1960 年生まれ。横浜国立大学教授,青山学院大学教授などを経て,2024 年 4 月から現職。
医療社会史を専門とし,『感染症の歴史学』(岩波新書,2024 年),
『歴史総合パートナーズ 4 感染症と私たちの歴史・これから』(清水書院,2018 年)などの著作がある。
磯谷正行(いそがい まさゆき)
愛知県立岡崎高等学校教諭,高大連携歴史教育研究会会長,愛知県世界史教育研究会会長
1957 年生まれ。専門は世界史教育。主な実績に,『高校社会「歴史総合」の 授業を創る』(共著,明治図書,2019 年),
『杉原千畝と 20 世紀の日本・世界・愛知』(編集主幹,愛知県教育委員会,2020 年)などがある。
井上弘樹(いのうえ ひろき)
東京医科大学医学部准教授
1986年生まれ。青山学院大学非常勤講師,日本学術振興会特別研究員 (PD),東京医科大学医学部講師を経て現職。専門は医療社会史。
主な実績 に『暮らしのなかの健康と疾病』(共著,東京大学出版会,2022年)などがある。
古澤美穂(ふるさわ みほ)
大阪教育大学附属高等学校池田校舎教諭
1977 年生まれ。松蔭中学校・高等学校教諭を経て,2020年から現職。専門 はドイツ近代史で,日本史・世界史を担当。
主な業績は『新詳世界史B指導資料』(共著,帝国書院,2018年)。
目次(内容と構成)
もくじ
「歴史総合」大項目との対照表
巻頭資料(本書をより活用するための資料と用語)
第1章 COVID-19(新型コロナウイルス感染症)
COVID-19の発生と流行
COVID-19のパンデミックを歴史化する
新型コロナウイルス感染症のワクチンの
開発・接種率から見えることは?
第2章 インフルエンザ
インフルエンザの生態学,疫学と流行対策
インフルエンザと経済社会の歴史
「スペイン風邪」はなぜ世界中に拡大したのか?
第3章 エイズ
エイズの病態と流行の推移
グローバル化のなかのHIV/エイズ
HIV/エイズに国際社会はどのように向き合うのか?
第4章 天然痘
天然痘と根絶後の対策
天然痘との闘い―種痘の伝播
「打ち,勝つ」?―天然痘と種痘の歴史から考える
第5章 結 核
結核―病原性細菌の「王」たる所以
近代・現代日本の結核の歴史
産業革命と結核
第6章 ハンセン病
ハンセン病の症状と治療
ハンセン病―世界の中の日本
ハンセン病の歴史から何を学ぶか
第7章 レプトスピラ症
レプトスピラ症―日本の研究者が病原体を発見した感染症
レプトスピラ症と人との関わり
レプトスピラ症と筑豊の石炭業
第8章 ペスト
ペスト―繰り返された世界流行
ペスト流行のアルケオロジー
科学/学問と軍事とは,どのような関係にあるべきか?
第9章 コレラ
コレラとは
コレラ―繰り返された流行
コレラと多摩地域
第10章 マラリア
マラリアの病原体と臨床
「マラリア根絶計画」はなぜアフリカで
実施されなかったのか
「開発」を進める上で大切なことは?
第11章 土壌伝播蠕虫感染症
汚染された土壌がもたらす回虫症・鉤虫症・鞭虫症
虫だらけの日本と東アジア
―20世紀半ばの暮らし・ジェンダー・国際関係
土壌伝播蠕虫感染症と経済・生活環境
第12章 リンパ系フィラリア症
リンパ系フィラリア症とその防圧―日本の貢献
リンパ系フィラリア症をめぐる歴史学
―「風土病」の制圧から極東における医療協力へ
リンパ系フィラリア症の根絶とSDGs
第13章 日本住血吸虫症
日本住血吸虫症の臨床とフィリピンの同症
日本住血吸虫症の環境史・地域史
地方病(日本住血吸虫症)教材化と
地方病教育推進研究会の活動
巻末資料(感染症,医療・衛生関係の博物館・資料館)
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