一般書籍

『郷土から問う歴史学と社会科教育』

著者・編者 伊藤純郎/武藤正人/大庭大輝/菅野剛/加藤将/石田尚子/小貫篤
判型 A5
ページ数 424 ページ
定価(税込) 3,850円
ISBNコード 978-4-389-43061-0
発行年月日 2023/03/05

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内容紹介

『本書は、筑波大学で伊藤純郎教授に師事し、現在様々な教育現場で教鞭を取っている45人の執筆者が、歴史学や歴史教育について、自らの問題意識を踏まえて設定したテーマを学校・地域という場から問い直し、あるいは児童生徒や地域住民との学びを通して研究し、自分の言葉で書き記した論文集です。』

目次(内容と構成)

はしがき
第1章 社会科・歴史教育史を問い直す
戦前・戦中の報徳教育から戦後社会科へ向かう学校・教員の主体性
―神奈川県足柄上郡の桜井小学校と福沢小学校を事例に― 武藤 正人
淀川茂重の戦後初期の教育へのまなざし
―『信濃教育』収載の論考を手がかりに― 田中清一
昭和20年代における信濃教育会女教師委員会
―長野県教組婦人部との関係性に着目して― 齋藤 慶子
成立期小学校社会科学習指導の着手過程
―文部省教科書局実験学校の教師による単元の具体化に着目して―  篠﨑 正典
全村教育運動下の郷土教育と労作教育の変容
―戦後初期社会科カリキュラム構想の源流に関する一考察― 森岡 孝文
満蒙開拓青少年義勇軍送出に見る学校教育と地域社会の連携
―山梨県豊村を事例として― 川﨑 大輔
喜田貞吉と日本歴史地理研究会 大野 智史
日本統治時代台湾における歴史教育実践に関する一考察
―戦前史料の現代的意味について― 神田 基成
コラム 学問は何のために 野口 剛
コラム 郷土教育と公民教育 矢野 敬一
コラム なぜ「道立・県立」がつかないのか? 大谷 奨
コラム 『郷土教育運動の研究』から学ばせていただいたこと
―地域の主体的な姿を総合的・重層的にとらえること―  萩原 和孝

第2章 歴史研究と歴史教育の理論を架橋する
歴史教育と「資料」
―歴史学と歴史教育のあいだを埋めるために― 大庭 大輝
歴史研究の新たな動向と希求される歴史教育への視点 須賀 忠芳
論争問題を考察する事例研究としての歴史学習
―単元「なぜ貿易をめぐる論争・戦争が起きるのか」を事例に― 植原 督詞
歴史的エンパシーを働かせる高校世界史授業構成論に関する一考察
―多元主義的民主主義社会に参加できる生徒の育成を目指して― 野々山 新
歴史を根拠に自らの主張を構築できる歴史授業を目指して
―単元「明治維新を記念する」を事例に― 渡邊 和彦
歴史の資料から生徒は何を考えたか
―資料活用による学習の可能性と課題― 岩本 和恵
秩父事件の教材化と授業実践
―地域の語りと歴史研究― 渡部 康詞
宗教の視点から時代像を捉えなおす中世史学習
―顕密仏教に着目して― 井上 裕紀…146
コラム 「歴史教育体験を聞く」について 茨木 智志
コラム 教育学に軸足を置いた歴史学 外池 智
コラム 日韓の歴史教科書執筆者交流の架け橋 徐 鍾珍
コラム 近代国家の形成
―伊藤博文はどのような国家像を描いていたか― 関谷 文宏

第3章 「グローカル」な学びへ―地域から世界へ―
自己と地域から考える「歴史総合」
―「いま」「ここ」を発着点とした実践を踏まえて― 菅野 剛
異質な他者と向き合うグローカルな学びのために
―満蒙開拓青少年義勇軍と模擬原爆を事例として― 冨所 克哉
生徒とともにグローカルな思考を育むための「木を見て森も見る授業」
―“地に足のついた歴史認識”の育成を目指して― 渡邊 優輔
長崎県の高等学校歴史分野における平和教育の在り方
―浦上天主堂と平和祈念像に着目して― 小林 詳梧
戦争学習を問い直す
―清沢冽『暗黒日記』を手がかりに― 友澤 剛志
「個」の問題に落とし込む校外学習のあり方
―予科練平和記念館への校外学習を事例に― 飯島 拓也
地域の歴史遺産を掘りおこす新しい平和学習の在り方
―「予科練と土浦・阿見の歩み」を事例として― 髙野 由梨
満州移民を題材とした授業単元の構想
―長野県の開拓団を事例として― 小林 一輝
コラム 満州移民と地域経済・経営史研究 平沢 照雄
コラム もうひとつの日本史:北方の視点 谷口 陽子
コラム 実証する歴史研究と平等教育の実践 金 炫我

第4章 地域を学ぶ、地域から学ぶ
歴史学習における学校資料の役割 加藤 将
個別から普遍へ
―地域教材で考える歴史― 速渡 賀大
地域から考える「探究」学習の試み 高林 拓也
地域発見・発信の探究学習と生徒の自己実現
―歴史・文化の活用とその課題― 鈴木 実
地域史の学びを通して、生徒が歴史を語るには 矢内 遼
流鉄流山線についての歴史的検討
―「万上線」「東邦線」の敷設を事例に― 伊藤 智比古
「クミアイ」に関する一考察
―長野県下における農家組合等の諸相― 草間 厚伸
「地域を学ぶ、地域から学ぶ」力を育成する教員研修
―公立教員研修所における歴史教育研修講座の分析から― 佐藤 悠人
コラム 「記憶のかたち」から考える歴史学習 高橋 健司
コラム 戦後70年「市民の記憶」収集事業
―戦争の記憶を後世へ― 野田 礼子
コラム 戦争の記憶の継承
―「モノ」・「カタリ」をきっかけに― 神田 麻衣子

第5章 多様性の視点で考える
生涯学習時代における文化財学習 石田 尚子
「私」と「今」を歴史とつなぎ「これから」を考える歴史学習
―特別支援学校(視覚障害)での実践を通して― 阿部 暁子
視覚障害社会科教育におけるフィールドワーク
―視覚特別支援学校高等部2年「地理A」における二つの実践― 丹治 達義
キャリア発達を促す歴史教育
―ジェンダーの視点を取り入れた授業実践― 瀬尾 知行
「母性」概念を問い直す近代史学習 並木 詩織
卒業生との対話による異文化理解授業批評 永野 みどり
コラム 社会科教育とジェンダー 國分 麻里
コラム 生活文化論からライフヒストリー、そして人糞地理学へ 湯澤 規子

第6章 公民としての資質・能力を育む学び
社会に参画する法構想学習
―相続の授業「亡くなった娘のSNSを母は見られるか」を事例に― 小貫 篤
作文を通して考える 小塚 涼介
中学校社会科の授業で行う道徳教育
―自分の言葉で平和を語ることのできる生徒の育成― 菅谷 優子
中等教育段階で求められる歴史教育のあり方に関する一考察
―茗溪学園中学校「アカデミアクラス」における理念と授業実践を事例に― 石川 知行
思考力・判断力・表現力を育む学習指導の在り方
―マインドマップを用いた地理教育の可能性― 阿部 真隆
県立高校における平和教育の現状と課題 鈴木 幸広
教材開発・授業改善の起点としての「授業開き」 林 裕行
コラム 大学における「信州学」の授業について 田澤 直人
コラム 生きる力を身につけることのできる学校の話 松丸 明弘

伊藤純郎先生主要著書一覧
あとがき
監修者・編著者・執筆者一覧