内容紹介
我が国では四季の折々にまた人の一生の節目ごとに様々な年中行事が営まれるが、その起原は、主に民俗学の立場から「伝承にもとづく」とか「言い伝えられている」と説明されることが多い。こうした科学的な根拠のない論説に対して、本書は、確実な歴史的史料を提示して誰もが検証可能な起原論を展開した、画期的な一冊である。
目次(内容と構成)
Ⅰ 正 月
一 門 松
門松の年神依代起原説❖門松は長寿のシンボル❖門松の起原❖門松と竹❖
江戸時代の門松❖門松を飾る日と除く日
二 鏡 餅
鏡餅の年神依代起原説❖鏡餅の起原❖鏡餅の目的❖歯固❖鏡開
三 年 玉
年玉の年神霊魂分与説❖年玉は年始の祝儀の粗品❖年玉の品物
四 正月の縁起物
正月飾の縁起物❖御節料理の縁起物
五 雑 煮
雑煮の呼称と起原❖様々な雑煮
六 小豆粥と赤飯
一五日の七種粥❖赤飯の由来
Ⅱ 節 供
一 節供とは
節供と節句❖節供の種類
二 七草の節供
人日の節供❖若菜摘と長寿の祝❖七日の七草❖七草粥
三 上巳の節供
上巳の節供の起原❖罪穢を水に流す❖女児の節供❖雛人形の飾り方❖
雛人形を飾る日・片付ける日❖雛祭の蛤❖草餅と菱餅
四 端午の節供
端午とは❖薬猟❖屈原と端午節の粽❖日本の粽❖菖蒲と尚武❖男児の節供❖
端午の節供は女性の節供か❖端午の菖蒲❖薬玉❖鯉幟❖
鯉幟の商人起原説❖鯉は滝を登らなかった❖柏餅
五 七 夕
棚機津女伝説❖中国の七夕物語❖乞巧奠❖飾竹の起原❖七夕飾❖素麺
六 重陽の節供
影の薄い重陽の節供❖菊の節供❖菊の被綿❖重陽の節供の風習❖残菊
Ⅲ 仏 事
一 彼 岸
彼岸会❖彼岸会の変遷❖彼岸の墓参❖牡丹餅とお萩
二 盂蘭盆
盂蘭盆倒懸説❖古代・中世の盂蘭盆❖江戸時代の盂蘭盆の風習❖盆踊❖中元
Ⅳ 花と月
一 花 見
サ神信仰❖花見の起原❖中世の花見❖江戸時代の花見❖桜餅
二 月 見
月見の起原❖中秋の名月と仲秋の名月❖古歌に見る月理解❖月と兎❖月見の供物❖
すすきとおぎ❖十三夜
Ⅴ 旧 暦
一 二至二分四立
四季の決め方❖立春と元日
二 土 用
土用の五行思想❖土用の禁忌❖土用鰻
三 夏の終わり
夏越の祓❖茅の輪潜❖銘菓「水無月」
四 七五三
髪置・袴着・帯解❖「七五三」の呼称❖「七歳前は神の子」❖千歳飴
五 歳 末
冬至❖煤払❖歳暮❖年越蕎麦
六 節 分
節分の意味❖追儺の起原❖豆撒❖柊と鰯❖鬼の扮装
あとがき
史料として引用した主要文献