内容紹介
パスカル論で論壇に登場した三木は,マルクス主義論により若い知識人に圧倒的な影響力を持つ。治安維持法により投獄されるが,独自の歴史哲学,人間学を展開し,ファシズムと軍国主義に抗して論壇でも活躍。政治にも参画し,中国への軍人侵略に抵抗を試みるが挫折。戦後世界を見ずに獄死する。恐慌と戦争と革命の時代,ファシズムとスターリニズムの時代に背を向けることなく,天皇制国家体制をフィクションと読み切り,理論と心情を,個人と社会を統一しようという終生の課題に取り組み続けた三木清の生涯と理想が,いま蘇る。
目次(内容と構成)
はじめに
Ⅰ 個人と社会
孤独な田舎者
個性と歴史
日常生活の解釈
『パスカルに於ける人間の研究』
Ⅱ革命と主体
マルクス主義と革命
『唯物史観と現代の意識』
意識と言葉
存在性の相違
Ⅲ 歴史と運命
逮捕と排除
『歴史哲学』
不安と危機の時代
新しい人間のタイプ
Ⅳ 翼賛と抵抗
『構想力の倫理』
「共同主義」と「東亜新秩序」
総力戦体制へ
Ⅴ 死と生涯
「聖職」
獄中での死
三木清、人と思想
あとがき
三木清年譜
参考文献
さくいん