内容紹介
ローマ最大の哲学者キケローはギリシャ哲学をヨーロッパ中世へ伝えた比類のない役割を果たした。彼はホメロス,プラトンと並ぶヨーロッパ-ヒューマニズムの三大支柱として,その貢献は決定的である。キケローの感化は哲学史の枠を越えて精神史に及び,哲学・文学・社会思想・法・政治の自己表現は彼の発見,彼への感激で支えられている。アウグスティヌス,トマス=アクィナス,ペトラルカ,ヴィーゴ,ヴォルテール,マブレー,J・S・ミルも深甚の影響をキケローから受けている。日本ではキケローとの真の解逅と対話はまだない。
目次(内容と構成)
序文
Ⅰ キケローの生涯
一 若きキケロー
二 政務官職の道
三 政務官職の道
四 キケローの追放と帰国
五 キリキアの総督として
六 市民戦争 ――カエサルとポンペイウスの激突
七 カエサルの独裁と暗殺そしてキケローの最後
Ⅱ キケローの思想
一 国家哲学・法哲学
二 ギリシア哲学との対決
三 きけろーの哲学的形成 懐疑主義と教説(定説)主義の狭間
四 歴史家としてのキケロー
五 弁論と哲学の結合を目指して
六 キケローとヨーロッパ精神史
七 日本におけるキケローの重要性
あとがき
年譜
参考文献
さくいん