内容紹介
ヘルダリーン,我々は彼を何と名づけたらよいのか?ハイデガーの言う「詩人の詩人」が不十分なのではない。しかし彼の詩作世界のあまりの切実さと巨大さが,独り屹立しながら現代へと飛翔した。人間のどんな権威も彼を狂気へと追い込みはしても,詩人存在そのものを破壊しつくすことはできなかった。また,もし彼の愛を言うなら,精神の病のさなかでも,死者となった一女性を最後まで記憶しつづけようとした勇気,そして驚嘆に値する故郷世界を来たるべき時代を幻視しつつ,ひとつの普遍として愛する全自然の中に創造した,その勇気を指摘すれば足りる。
目次(内容と構成)
はじめに
序説 ヘルダリーンと現代
Ⅰ 詩人としての出発を前に
幼少年期時代
テュービンゲン時代
Ⅱ 詩人独立をめざして
家庭教師として
大きな希望と挫折 ――ディオ-ティマへの愛
Ⅲ 新しい詩作の開始
故郷と詩作と
Ⅳ 故郷から異国という故郷に
再び家庭教師として
寄食者として
Ⅴ 最後期のヘルダリーン
ツィンマー家の下宿人として
あとがき
年譜
参考文献
さくいん