内容紹介
ミュッセは,ラマルチーヌ,ヴィニー,ユゴーと並んでフランス・ロマン派四大詩人の一人で,ロマン派の中でも一番「ロマン派的」な詩人だった。その生涯は華麗な女性遍歴に彩られている。とりわけ,パリで花咲きヴェネチアで散った男装の麗人ジョルジュ=サンドとの「世紀の恋」は文学史上あまりにも有名である。青春と恋愛の哀感を切々と歌い上げた名品を数多く残す一方で,『戯れには恋はすまじ』『マリアンヌの気まぐれ』など優雅で洗練された戯曲も書いた。その芝居は今なおしばしば上演されている。本書は,そうしたミュッセの活き活きとした真の姿を描こうとした,待望久しい,我が国で最初の評伝である。
目次(内容と構成)
はじめに
Ⅰ 恋とエポジーにあこがれて
詩人への道『スペインとイタリアの物語』の世界
Ⅱ ロマン派の異端児
プロの分筆家として
霊感の詩学
Ⅲ 世紀の恋
ジョルジュ=サンドに恋して
「世紀児の告白」をめぐって
Ⅳ 苦悩の詩学
大恋愛のあとで
成熟と本領 ―『新詩集』
Ⅴ 劇作家として
詩魂の枯渇
ミュッセの演劇
あとがき
年譜
参考文献
さくいん