内容紹介
愛と孤独の詩人というリルケに冠されてきた詩人像が誤りなのではない。それどころか,リルケほどこれらを考え抜いた詩人はいない。問題はしかし詩人像ではなく彼が到達した比類ない詩業にあるとすれば,彼が詩人の眼で根底から問うた現代の人間と事物の存在の問題も,作品内容への正確な理解からこそ初めて捉えられてこよう。本書は日本の俳句も視野に入れていたリルケの越境性を探り,文学と思想との見事な融合を成し遂げ,東西を越えて読まれ続けるリルケの道案内を念じた。
目次(内容と構成)
はじめに
序論 リルケと星野真一
Ⅰ 東西を越えた彼岸に
なぜリルケの詩は世界的に読まれるか
リルケと俳句
Ⅱ 若き日のリルケ
リルケの故郷
ロシア旅行と詩業の土台
Ⅲ ロダンとのめぐり逢い
最初のパリ滞在
『マルテの手記』 ――創作における画期
Ⅳ 『マルテの手記』以後
漂泊の旅
悲しいめぐり逢い ――ベンヴェヌータ
Ⅴ 晩年のリルケ
第一次世界大戦中のリルケ
ミュゾットの館と『ドゥイノの哀歌』
詩人追慕の旅
あとがき
年譜
参考文献
さくいん