内容紹介
上流の出でありながら,当時としてはこともあろうに看護婦を志し,折しも勃発したクリミア戦争で傷病兵のために献身して名を上げ,あわせて看護という職業のイメージを確立した一九世紀の英国女性,フロレンス=ナイチンゲール。彼女はなんとしても倫理行動的に生きたかった。そうありたい自分に現実の自分を限りなく近づける努力を続けた。彼女が最初に取り組んだのは貧しい病人と兵士たちの看護であったが,常に問題の本質を問う彼女の仕事が行き着いた先は,広く人間の健康を守る社会の創造であった。本書は,彼女の実像に迫る力作である。
目次(内容と構成)
はじめに
Ⅰ 兆し
一 出生、家族
二 少女フロレンス
三 大陸旅行
Ⅱ 目覚め
一 焦燥
二 持久
Ⅲ 待機
一 思案
二 ローマ行き
三 疲弊
四 エジプト・ギリシア旅行
Ⅳ 助走
一 カイゼルスヴェルトのディアコネス学園
二 弾み
三 婦人家庭教師のための療養所
Ⅴ その時
一 クリミア行き
二 ストラテジック=リーダー
三 困難中の困難
四 レディ-ウィズ-ア-ランプ
五 疲れと怒り
Ⅵ 陸軍の衛星改革
一 終わりは始まり
二 陰の指揮官
三 犠牲
Ⅶ 看護発見
一 『看護覚え書き』
二 『病院覚え書き』
三 ナイチンゲール-スクール
Ⅷ 余波
一 ナイチンゲール詣で
二 サウス街の人
年譜
参考文献
さくいん