内容紹介
ハイネは実に魅力に富む存在である。彼は,詩を惨めなドイツの状況をリアルに描ける唯一可能な形式と見定め,叙情詩『歌の本』『ロマンツェーロ』,叙事詩『アッタ・トロル』『ドイツ・冬物語』などを著す。ヘーゲル,マルクスらと交わり,明日のドイツへの歴史的展望にぬきんでた洞察を示しつつ,光輝ある孤立を保った最後のロマン主義詩人にして最初の現代詩人であった。このヨーロッパ文化の危機の告知者は,キリスト教とユダヤ教の狭間で苦闘した。ハイネを受容しようとする幅広い流れは,現代の思想や芸術に密接につながっている。
目次(内容と構成)
はじめに
第一章 ドイツ時代のハイネ
一 幼年時代と学校時代 ――デュッセルドルフ(一七九七-一八一五)
二 徒弟時代 ――フランクフルト、ハンブルグ(一八一五-一八一九)
三 大学時代 ――ボン、ベルリン、ゲッティンゲン(一八一九-一八二五)
四 自由な分筆家として ――ハンブルク、ミュンヘン(一八二五-一八二八)
五 『歌の本』(一八二七)
六 ドイツ時代の終わり(一八二八-一八三一)
第二章 フランス時代のハイネ
一 パリ生活の始まり(一八三一-一八三五)
二 「若いドイツ」派の禁止
三 『アッタ=トロル』
四 『新詩集』
五 ドイツへの旅と『冬物語』
六 晩年のハイネ(一八四八-一八五六)
あとがき
年譜
参考文献
さくいん