内容紹介
パステルナークは,ロシア生まれの二〇世紀を代表する詩人であり,作家である。彼は未来主義から出発したが,詩集『わが妹人生』で独創的な詩的世界を作り上げた。その詩は読む者を驚嘆させ,同時代の詩人に大きな影響を与え続けた。彼の生きた時代は革命,大粛清,戦争と様々な歴史的事件に満ちていた。ソ連での彼の評価は,時代と共に大きく変わったが,一九五八年に反ソ詩人の烙印を捺される。本書は,多くの詩を取り上げてその独創的な詩的世界を紹介すると同時に,困難な時代を人間らしく,誠実に生きようとした詩人の軌跡を明らかにしようとする。
目次(内容と構成)
はじめに
Ⅰ 詩に至る道
生い立ち
音楽家を目指して
新しい道を求めて
Ⅱ 『わが妹人生』
革命と詩人
詩の物語
新しい詩の空間
Ⅲ 革命と新しい国家
一〇月革命と内戦下の生活
迷いのとき
ソヴェト詩人として
Ⅳ 二〇年代の作品と韻文小説『スペクトルスキー』
『空路』
『シュミット大尉』
『スペクトルスキー』
Ⅴ 大粛清の時代へ
マヤコフスキー
新しい愛
偽りのユートピア
Ⅵ 『第二の誕生』と『安全通行証』
再び抒情詩へ
第二の誕生
Ⅶ 第二次世界大戦とその後
第二次世界大戦
ジダーノフ批判
Ⅷ 『ドクトル・ジバゴ』事件
雪どけ
『ドクトル・ジバゴ』事件
Ⅸ 『ドクトル・ジバゴ』と詩集『晴れわたるとき』
執筆の歴史
滅びゆくものの物語
ユーリィ・ジバゴの詩集
詩集『晴れわたるとき』
Ⅹ エピローグ
死ぬまでの日々
死後の評価
おわりに
パステルナーク年譜
参考文献
さくいん