内容紹介
幕末の危機の時代に,二九年の短い生涯を松陰は激烈に生きた。鎖国の禁令を犯しての「下田密航事件」などの過激な行動によって人々に衝撃を与え,松下村塾を主宰して高杉晋作・伊藤博文らの幕末維新の俊傑を輩出した。そうした松陰の行動は,幼い頃からの熱心な学問的営為に裏打ちされたものであるが,彼が常に唱えたのは「立志」と「実行」である。重要なのは,そこに新しい精神が生成したことである。彼は,封建的割拠を統一的国民国家へと転換して,日本の独立を確保する明治維新の社会変革を,精神の次元で先取りして示した。
目次(内容と構成)
はじめに ――吉田松陰への視座
Ⅰ 修業時代
近親による教育
兵学修業
諸国遊歴
東北旅行
Ⅱ 海外渡航
ペリー来航
下田密航事件
松陰の自首
Ⅲ 幽囚
「幽因録」
野山獄
「議孟余話」
論争
松下村塾
Ⅳ 激発
日米修好通商条約問題
献策
倒幕理論
間部詮勝襲撃計画
Ⅴ 草莽崛起
再入獄
孤立
伏見要駕策
「義卿が崛起の人なり」
Ⅵ 不朽なる神
松陰の江戸召喚
死罪の告白
「留魂録」
おわりに ――吉田松陰と現代
年譜
参考文献
さくいん