内容紹介
「インディオの使徒」とか「アメリカの父」と称えられる一方,「偏執狂」とか「売国奴」と罵られてきた一六世紀のスペイン人宣教師ラス=カサス。彼の作品は欧米の列強諸国に政治的に利用され,正反対の評価を受けてきた。彼は「人類はひとつ」という信念に基づいて,新世界の住民のみならず,黒人や虐げられた人々の人間としての尊厳,生命と自由を守ることに半生を捧げた。その波乱に富んだ彼の人生と著作は,国境なき社会の到来に直面し,異文化の人々との平和共存を模索する現在,われわれに多くのことを教示してくれるであろう。
目次(内容と構成)
はじめに
Ⅰ 修道士となるまで
新しい世界との出会いと第一回目の≪回心≫……一四八四~一五一五
植民事業者として……一五一五~二二
Ⅱ 修道士として
修道士となって……一五二二~三五
平和的改宗をめざして……一五三五~四〇
Ⅲ 正義の実現とインディアスの改革をめざして
スペインでの活動……一五四〇~四三
チャパス司教時代……一五四四~四七
Ⅳ 「人類はひとつ」
大論戦……一五四七~五二
『インディアス文明誌』と『インディアス史』
Ⅴ 晩年のラス=カサス
国王との決別
「彼らの理解力は曇っている」
Ⅵ 「黒い伝説」
反スペイン運動と反ラス=カサス運動
イスパノアメリカのラス=カサス像
『簡潔な報告』と「黒い伝説」
おわりに
年譜
参考文献
さくいん