内容紹介
二〇世紀初頭のスペインを代表する哲学者であり,世紀末の混乱の中でヨーロッパ文明の将来を憂えた思想家オルテガは,当時の社会危機の根源が「大衆の反逆」にあると主張した。ジャーナリストの家系に生まれ,ドイツで新カント派に学ぶが,のちに「私は私と私の環境」という命題のもと,独自の「生の理性」哲学を生みだして世界的な注目を浴びる。本書では,没落期を迎えた母国スペインの復興,とくにその文化的沈滞状況からの脱出のために生涯を捧げた彼の実像を浮き彫りにしようとする。
目次(内容と構成)
はじめに
Ⅰ 生い立ちと生涯
恵まれた環境とドイツ留学
「一八九八年の世代」
政治教育連盟の創設と出版活動
ヨーロッパ知性の導入と政治活動
内戦勃発と亡命生活
晩年の活動
Ⅱ 思想の主要テーマ
二〇世紀思想の新しい流れ
木々が森を見せない
相対主義と理性主義への批判
ドン=キホーテとドン=ファン
文明の境界線
スペインについて
エリートと大衆
歴史的バースペクティヴ
政治思想
自由主義と民主主義
国家論とヨーロッパ統合
あとがき
年譜
参考文献
さくいん