内容紹介
地球環境に大きな変化が現れている。一九九六年に北米やアジアを襲った破壊的な熱帯性の嵐は,地球環境の決定的な変化の前兆だろうか。大気中の二酸化炭素濃度の異常な高まりは,地球温暖化につながると懸念される。森林の消失,酸性雨なども深刻な状態だ。二〇世紀は「経済の世紀」から「環境の世紀」に移ろうとしている。一九六〇年代に,先駆的に「環境の世紀」の到来を語ったのがレイチェル= カーソンである。彼女の『沈黙の春』は,今日の環境問題を原理的なところで把握しており,現代を考えるための必読書である。
目次(内容と構成)
はじめに
引用文献略号一覧
Ⅰ 若き日々
ペンシルヴェニアの小さな町で
大学時代
最初の著作
Ⅱ ベストセラー科学者
『われらをめぐる海』
『海辺』
Ⅲ 『沈黙の春』
発端
『沈黙の春』の問題提起
「禍のくさり」はどこまで?
科学者としての手腕
『沈黙の春』出版の後
Ⅳ カーソンの思想――その側面
アメリカ合衆国における環境主義の先駆者たち
近代的自然観への批判と『沈黙の春』の意義
現代の危機への対応――カーソンの論の延長線上に
あとがき
年譜
参考文献
さくいん