内容紹介
一九六〇年代末から登場した解放の神学は,それまでの西欧中心の伝統的思考様式とは根本的に異なる新しい思考様式を提示した。そしてそれは今やイエス= キリストの福音の原点にいきいきと迫るダイナミズムを,世界の至るところで発揮している。この新しい神学運動の担い手は,アメリカの黒人,ラテンアメリカ・アジア・アフリカなどの被抑圧民衆である。彼らは人間としての解放への叫びの文脈の中で,聖書を自分自身の目で読み直し,自らの頭と心で考え直す作業に携わっている。そこにあるものは生きることの感動の再発見である。
目次(内容と構成)
はじめに
第一部 解放の神学と自分史
第一章 解放の神学との出会い
1 『黒人神学とブラック=パワー』との出会い
2 『解放の神学』の邦訳に携わって
3 そのほかの解放の神学との出会い
第二章 自分史の回顧
1 受洗から日本キリスト教団への転会まで
2 学校、教会、そして市民運動
3 開かれたキリスト論の展開に向けて
第二部 解放神学の先駆者ジェイムズ=H=コーン
第一章 ビアーデンからエヴァンストンへ
1 少年時代
2 カレッジ時代
3 神学生時代
第二章 黒人神学の構築に向かって
1 キリスト教とブラック=パワー
2 ニューヨーク=ユニオン神学校へ
第三章 出会いと挫折、そして再構築
1 種々の出会いと父母の信仰
2 挫折、そして再構築
3 「天国」「神議論」「相補弁証法」
おわりに
年譜
参考文献
さくいん