内容紹介
一六世紀には,ヨーロッパの宗教界では,それまでのローマ- カトリック教会の一極支配が崩壊して複数化が進み,宗教・宗派の対立・抗争がおこり,ついには宗教戦争にまで至る。そのような時代に,内面的真理・真実の領域において,外部からの力による強制の空虚さ,良心の尊厳を毅然として主張したのがカステリョにほかならない。やがては人類に共通の精神的財貨となる「信教の自由」の先駆者たるカステリョの「人と思想」が,本邦で初めて本格的に紹介される。
目次(内容と構成)
はじめに
Ⅰ 良心の攻めぎあい
出生と形成
ジュネーヴにて
バーゼル時代
Ⅱ 「三位一体」の秘儀
セルヴェトゥス事件
三位一体論の形成
セルヴェトゥス裁判
Ⅲ 長く遠い道
荒野に叫ぶ声
カステリョとブレンツ
寛容論の内実と根拠
終章
あとがき
年譜
索引