内容紹介
中世の精神文化を代表する偉大な作品の一つにトマス=アクィナスの『神学大全』があげられる。しかし,ラテン語の膨大な著作の奥にいるトマスと出会うことは難しい。彼の同時代人は彼を「革新者」として讃え,あるいは危険視したが,その「革新」の深い意味を理解しなかった。トマスを退けるところから出発した近代思想があらゆる面で行きづまっているように見える今日,もう一度トマス思想を見直す必要があるのではないか。本書ではトマスの生の声を伝え,トマスその人との出会いに導こうと試みる。
目次(内容と構成)
まえがき
Ⅰ 幼少年時代
山城と修道院
Ⅱ ナポリ大学時代
アリストテレスとドミニコ会
Ⅲ 修業時代
ケルンとパリ
Ⅳ 神学教授として
トミズムの誕生
Ⅴ イタリア時代
トミズムの成熟
Ⅵ 第二回パリ時代
挑戦と応答
Ⅶ 帰郷と最後の旅
思索への没入と啓示
おわりに――トマスと現代
あとがき
年譜
参考文献
さくいん