内容紹介
メルロ=ポンティは視覚について考え続けた哲学者であった。彼は,目に見える世界を遠近法的展望の下に捉えることはいかなることかに答えようとした。彼の思索の後を追うとき,われわれはフランス現代思想の発祥地がここにあることを理解すると同時に,セザンヌらの絵画を前にしたときと同様に静かな生の悦びを感ずるのである。現代フランスの激動の中でマルクス主義に希望を託して挫折したこの哲学者の中に,初めて世界を眺めたときの感動が残ったといえよう。絵画とは,本来このような感動の記録なのである。
目次(内容と構成)
はじめに
Ⅰ メルロ=ポンティの生涯
最後の「良き時代」
「人民戦線」の時代
「抵抗運動」の時代
「レ・タン・モデルヌ」の時代
「レクスプレス」の時代
Ⅱ メルロ=ポンティの思想
『行動の構造』
『知覚の現象学』
歴史と身体
言語と身体
絵画と身体
『見えるものと見えないもの』
おわりに
あとがき
年譜
参考文献
さくいん