内容紹介
シモーヌ=ヴェーユは,二つの世界大戦にはさまれた混沌の時代を彗星のように駆け抜けていった一九三〇年代の証人である。このたぐいまれな誠実さと知性とを兼備した女性は,日々刻々と起こる出来事のうちに思索と行動の糧を求め,妥協することなく自らの信念に忠実に生き,古今東西の文献を駆使して,哲学・宗教・政治など広大な領域に及ぶテーマを探求した。ヴェーユの思想的立場を,大半の人間は真似できないし,真似する必要もない。現実にそのような人間も存在すると知ることは,自分自身の生き方を考え直す契機となるはずである。
目次(内容と構成)
はじめに
Ⅰ 少女・青年期
少女時代
哲学者アランと高等師範学校
ル-ピュイ哲学教授時代
Ⅱ 激動の三〇年代
工場体験
スペイン市民戦争
イタリアへの旅
ソレム――受難のキリスト
Ⅲ さいごの日々
孤独な道
Ⅳ 思索の収穫
神と憐れみと人間の不幸
民衆と言語
Ⅴ 民間伝承の研究
民間伝承とはなにか
罪のない人間による贖罪
人間を探し求める神
神を探し求める人間
Ⅵ 名前のない信仰
信仰とはなにか
キリストとの人格的な出逢い
おわりに
あとがき
年譜
参考文献
さくいん