内容紹介
その生涯をかけた願いや祈りが伝えられ,継承されるのは,理想に懐く熱い思いの如何かもしれない。玄奘三蔵の生涯は,忘れかけていた情熱やロマンを現代に蘇らせる。玄奘三蔵の名は知らなくとも,親しみをこめていう「三蔵法師」の呼び名は皆が知っている。彼の翻訳経典が何かを知らなくとも,玄奘訳『般若心経(摩訶般若波羅蜜多心経)』は,今日にも大変親しまれている。インド的思惟にもとづく「空」と中国的思惟による「有」との離隔をつなぐことも,玄奘三蔵の西域求法の目的であった。
目次(内容と構成)
はじめに
Ⅰ 玄奘の時代と仏教
具象と抽象 (中国的な思惟とインド的な思惟)
仏像の出現――抽象から具象へ(1)
経本崇拝――抽象から具象へ(2)
「法舎利」――抽象から具象へ(3)
Ⅱ 唐代にいたる仏教の受容と変遷
インドから中国へ――中国仏教の展開
唐代の西域情勢と異民族・異宗教
Ⅲ 玄奘伝
おいたち
旅立ち
西域への旅
インド
釈尊の故郷
東インドから南インドへの旅
帰路
帰朝
むすび
年譜
参考文献
さくいん