内容紹介
ラヴォアジェが,パリの街路照明の改良に関する懸賞論文で国王の金賞を受けたのは,22歳のときであった。「化学革命」に着手し,新元素表によって物質観の歴史を変革した。フランス革命に際しては,科学者としてメートル法の制定に腐心し,また,重農派の財政家として銀行の整備にも努力した。しかし,革命の急進化により到来した恐怖政治が,穏健な改革派の彼を断頭台へ送る。五〇歳八か月の生涯であった。本書は単なる「化学偉人伝」ではなく,18世紀フランスの歴史と文化の中で生きた人間ラヴォアジェに迫る。
目次(内容と構成)
まえがき
Ⅰ なにごとにも長い伝統がある
1 序章の序章 科学を生みだしたヨーロッパ
2 序章 錬金術――科学前史
Ⅱ 青年ラヴォアジエ 化学革命へのりだす
1 アンシアン・レジーム末期、ラヴォアジエ誕生
2 若き英才――そして運命の選択
3 科学革命の道へ――妻と共に
Ⅲ 酸素のドラマの主役として
1 酸素
2 新燃焼理論樹立――酸の素
3 水は元素ではない
Ⅳ 昼間は役人、夜は学者
1 行政官・財政家・農政家ラヴォアジエ
2 十八世紀フランス啓蒙思想のただなかで
3 化学命名法(一七八七)
4 化学原理(一七八九)
Ⅴ 大革命、そして断頭台へ
1 フランス革命の渦中で
2 大革命の所産 メートル法とラヴォアジエ
3 疾走する革命――逮捕、そして破局へ
Ⅵ 化学はラヴォアジエの拓いた道を進んだ
1 まとめ
2 補章 現代社会への道
あとがき
年譜
参考文献
さくいん