内容紹介
独裁者の父は暗殺され、兄は早逝し、社会が大きく変動して武断の将軍が求められている時期に、文の人義政は幼少にして権威の座につくという運命にあった。
応仁・文明の大乱の責任も一半は義政にあり、かれの政治は失敗の連続であったが、乱後の京都の復興と、東山山荘での幽玄・枯淡なかれの文化生活は、興隆期の地方の武士や庶民に大きな刺激を与え、芸能文化の基調となった。
足利義政に関する著書が少ないなかで、本書では、義政の全体像をとらえ、さらに東山文化とその担い手たちの姿を描いたものである。
★シリーズ初のフルカラー版
目次(内容と構成)
目次
はしがき
Ⅰ 激動の谷間
独裁者の子
運命の人/母,日野重子/父の死/独裁の恐怖/反発の渦/武家社会の動揺
嵐の前の長禄・寛正期
二足の欠けた鉄輪/御今参局/伊勢貞親と奉公衆/わが身さえ富貴ならば/室町殿と高倉御所/芸能者たちの活躍
盛り上がる社会意識
頻発する徳政一揆/地侍と農民/庶民的宗教の隆盛/伊勢参宮盛行
Ⅱ 応仁の乱
細川勝元と山名宗全
赤入道宗全/赤松家の再興/義視と義尚/畠山氏両党の抗争
猛将と足軽
大乱の勃発/乱の帳本人たち/乱の中の義政/乱の被害者たち/足軽の性格
乱後の復興
太平の到来/富子の「女人政治」/日明貿易と唐風文化/父と子
Ⅲ 東山文化
東山山荘の生活
山荘の造営/造営の背景/殿舎と庭園/会所から書院へ/義尚の近江出征/義政の死
東山文化の担い手
公家衆と禅僧/同朋衆と町衆/上級武士/地侍と国人層
年譜
参考文献
さくいん