内容紹介
ブルクハルトは,不朽の名著『イタリア・ルネサンスの文化』によってわが国でつとに知られている。文化史家であるばかりでなく,西洋美術の全域に通暁した美術史家でもあった。とりわけ『世界史的考察』における犀利な文明批評は,20世紀にたいする予見または警告として近年注目の的となっている。「忍従し努力し行為する人間」という彼の内奥の声は,読者の心の強く訴えるであろう。しかし,読者は,そこから過去への厳しい反省と同時に未来への励ましを聞くことができよう。
目次(内容と構成)
まえがき
Ⅰ バーゼルの聖者
文化史上のバーゼル
自伝
Ⅱ ロマンティックな遍歴
歴史学事始め
美術への開眼
挫折と脱出
Ⅲ 過渡期の状況
開かれた歴史
『コンスタンティヌス』の問題点
断絶か連続か
Ⅳ 美の園への招待
『チチェローネ』の成立
『ルネサンス建築史』
レオナルド、ラファエロ、ミケランジェロ
レンブラントとルーベンス
Ⅴ 近代文化の原像
ルネサンス時代とルネサンス文化
不朽の名誉
成立と意図
Ⅵ 危機の予見者
『歴史の研究』あれこれ
権力は悪である
危機に面して
Ⅶ ブルクハルトとニーチェ
ニーチェとの交友
往復書簡
ブルクハルト対ニーチェ
Ⅷ 明朗なぺシミスト
掉尾の大著
新人文学主義とギリシア
栄えある運命
年譜
参考文献
さくいん