内容紹介
人間の自由というものの重さについて,日本語によって初めて明快な説明をつけてくれたのが大杉栄の文章である。自由とは個々の人間の好みの問題ではなくて,それがなければ人間として生まれた意味がないというほど重要,かつ切羽詰まったテーマであることを,言葉と行動で示したのも大杉であった。「美は乱調にある,階調は偽りだ」という大杉の言葉は,人間の自由の領域を食い荒らして国家が強くなる傾向の痛感される今,大杉の言葉は何にもまして豊かで美しくひびく。
目次(内容と構成)
はじめに
Ⅰ 大杉栄の生涯
社会主義の一兵卒
アナキシズム――明治社会主義を超えるもの
ボルシェヴィキ派との抗争の日々
Ⅱ 大杉栄の思想
美は乱調にある、階調は偽りである
分裂を迫られている日本
芸術は民衆の死活問題
あとがき
年譜
参考文献
さくいん