内容紹介
一九世紀末のベルリンに生まれたユダヤ系ドイツ人ベンヤミンは,ドイツ市民階級の文化が没落し,ドイツ人とユダヤ人との共生関係が破局を迎えるのを目撃した。伝統的な社会秩序が崩壊していく中から,彼は自らの思想を作り上げた。おびただしく降り積もっていく歴史の残骸を拾い集めた彼は,その破局のうちにかつての黄金時代の面影を求め,また,未来のユートピアの姿をかいま見ようとした。暗く絶望的な世界のうちに,まばゆく光り輝く楽園の光景を一瞬の間浮かび上がらせること,これがベンヤミンの批評の方法であった。
目次(内容と構成)
はじめに
Ⅰ ベンヤミンの生涯
ベルリンの幼年時代
青年運動と戦争の時代
ワイマール時代
亡命の時代
最後の日々
Ⅱ ベンヤミンの思想
青春の形而学
批評の理論
ドイツ-ロマン主義の芸術批評とゲーテの親和力
ドイツ悲劇の根源
ブルーストとカフカ
複製技術時代の芸術
言語哲学と収集癖
パリの遊歩街
歴史の概念について
あとがき
年譜
参考文献
さくいん