内容紹介
ポパーは,「現代哲学者叢書」の取りあげられ,ゾニング賞・カタルーニャ国際賞に輝く現代ヨーロッパ文明の優れた貢献者である。生誕八〇年,八五年を記念して二つの記念論文集が,またポパー自身の草稿も次々と出版され,ようやくその全体像が明らかになってきた。物理学・生物学・心理学・論理学などをふまえた視野の広さに現代哲学の健全さの一端がうかがえる。激動する現代ヨーロッパを現象面だけでなく,思想面から捉え直さねばならない。そうしたとき,彼を素材にさまざまな視点から考えていくことは緊急な現代の課題であろう。
目次(内容と構成)
はじめに
Ⅰ イギリス定住までのあゆみ――思想を育んだ時代背景
ウィーンの青春
ウィーン学団
ファシズムの嵐の中で
辺境にて
Ⅱ 科学の論理――「科学とは何か」を求めて
科学理論についての講演
ヒューム問題
カント問題
Ⅲ 歴史的法則主義――マルキシズムへの反旗
『歴史法則主義の貧困』の立場
仮説演繹法
Ⅳ 開かれた社会――先哲たちの犯した過ち
開かれた社会の敵たち
プラトン論
ヘーゲル論
マルクス論
科学と倫理の解明へ
Ⅴ 三つの世界――相互に関わりあうもの
三つの世界論
三つの世界論をめぐって
Ⅵ 自己――「人間」その創造的なもの
創出論
唯物論批判
「自己」となること
自己の統一性
Ⅶ マルクス主義者の応答――ポペーヘのアンチテーゼ
コーンフォースの反駁
ジョン=ルイスからの再検証
Ⅷ 現代社会に生きる「人間」――ポパーが探りつづけるもの
ポパーの求めたもの
人間として生きる
年譜
参考文献
さくいん