内容紹介
経済の危機が叫ばれる昨今,スミス研究が盛んに行われるようになった。生産の能率の向上を中心課題としてきた現代の経済学が,何のための豊かさか,ということに気づいたためであろう。人間と社会についての深い洞察に基づいて経済学を生み出したスミスは,経済学のあり方を考える場合の原点となる。特権と独占を厳しく批判したスミスの思想の根底には,抑圧からの人間の解放と民衆の自律的な人間への成長の願いが込められていた。スミスは,現代の民主主義と自由の問題を考えるときも,豊かな示唆を与えてくれる。
目次(内容と構成)
はじめに
Ⅰ スミスの時代と生涯
ロッホ-ローモンドの歌
ふるさとの町
文芸の興隆
大学教授として
フランス旅行
『国富論』の誕生
晩年の日々
Ⅱ スミスの思想と学問
人間の把握
社会形成の原理
富と道徳と法
新しい歴史観
商業社会
三大階級の社会
富裕への道
独占と特権への批判
国家の役割
Ⅲ スミスと現代
スミスと日本
スミス研究の意義
あとがき
年譜
参考文献
さくいん