内容紹介
ウィトゲンシュタインは自分の人生を振り返り,次のように語っている。「人は何度も躓き倒れるが,なすべきただ一つのことは立ち上がり,やり直し継続することだ。少なくともこのことが私の生涯でやらなければならなかったことであった」。彼は生涯不安や憂愁に悩まされ,激しい精神の苦悩に陥った。しかし彼は,何事にも情熱的で,純粋で,誠実であった。それだけいっそう,産みの苦しみを通して綴られたウィトゲンシュタインの厳しい思索は,きっと私たちの生の真実の何かについて大いなる示唆を与えてくれるだろう。
目次(内容と構成)
ウィトゲンシュタインについて
Ⅰ 世紀末のウィーン――ウィトゲンシュタインの思想的基盤
ウィーンとウィトゲンシュタイン
ルートウィヒの生いたち
Ⅱ 前期の思想――言語・論理と倫理・芸術との葛藤
ケンブリッジとノルウェイの生活
第一次世界大戦と『倫理哲学論考』
『倫理哲学論考』の出版と小学校教師
『倫理哲学論考』の思想
Ⅲ 過渡期の思想――生の研究と哲学への復帰
ウィーンへの帰郷
再びケンブリッジへ
過渡期の思想
Ⅳ 後期の思想――晩年の生と思想
山小屋から英国へ
アイルランドでの生活と最後の生
『哲学的探究』の課題
『哲学的探究』の思想
最晩年の書『確実性の問題』
Ⅴ ウィトゲンシュタインの人間像
苦悩と人生の真実
芸術と倫理的価値
宗教と生
あとがき
年譜
参考文献
さくいん