内容紹介
エミール=ゾラは『ルーゴン・マッカール双書』を書いたフランスの偉大な小説家である。『ナナ』や『居酒屋』を発表していた頃,彼は露骨で,卑猥であるとして非難されたが,その作品の底にはヒューマンな同胞愛が脈打っている。彼は社会的弱者に深い共感を持った社会派の小説家である。しかし,ゾラを小説家としてのみ評価することは適切ではない。彼は何よりも優れたジャーナリストであり,ドレフュス事件を世界史的事件として浮上させ得たのも,その優れたジャーナリスト的才能によってである。
目次(内容と構成)
まえがき
Ⅰ エミール=ゾラの生涯
一、ロマン主義に心酔して
二、絶望と放浪と
三、若きジャーナリスト
四、ベスト-セラー作家
五、告発と亡命と
Ⅱ エミール=ゾラの思想
一、戦争と右翼に抗して
(1) 普仏戦争にさいして
(2) パリ-コミューンの渦中で
二、『ルーゴン・マッカール双書』
(1) 科学と自然主義
(2) 挑発の文学
三、『三都市双書』
(1) 『ルルド』
(2) 『ローマ』
(3) 『パリ』
四、≪告発(われ弾劾す)≫
(1) ドレフェス事件
(2) 真理と正義を求めて
五、ユートピアを求めて
むすび
年譜
参考文献
さくいん