内容紹介
トインビーが記念碑的な大著『歴史の研究』を書いたのは,世界史の全体像とその意味を解き明かすことにあった。今日のように,「一つの世界」を迎えた時代には,何よりもグローバルな視野と展望が必要である。長年の孤独な歩みに耐え,人類の運命の問う「新しい世界史」への道を開いたトインビーの知的遺産に学ぶところは大きい。トインビー自身,絶えず西洋人としての傲慢と偏見に心を痛め,その克服に全力を尽くした。終生変わらぬ自己超克の精神こそ,トインビー史学の原点である。
目次(内容と構成)
まえがき ――トインビ-の魅力
Ⅰ トインビーの生涯と思索
トインビー家の人びと
トインビーの学風
サルトルとトインビー ――知識人論
古典教育と新しい人間教育 ――教育論
若い世代への期待
Ⅱ トインビーの歴史観
西洋中心史観の克服
『歴史の研究』の構想
歴史の意味と目標
Ⅲ トインビーの宗教観
高度宗教の成立
高度宗教の役割
文明にとっての宗教
現代宗教の課題
Ⅳ トインビーと日本
日本への関心
近代化の意義と問題点
世界の未来と日本
あとがき ――トインビーとわたくし
年譜
参考文献
付表
さくいん