内容紹介
ヴィクトル=ユゴーは,わが国ではこれまで小説『レ・ミゼラブル』の作者としてのみ知られてきた嫌いがある。しかし,彼はフランスの大詩人のひとりであり,世界の各国でもそのように評価されてきた。大才に恵まれたユゴーが,詩壇を始め,小説・劇・論文などの分野において,どのように多彩な活動を繰り広げたかを,この書では明らかにしている。恋愛,革命,亡命生活という変化に満ちた詩人ユゴーの人生は,その作品と同じように多彩で波瀾万丈なものであった。この点でもユゴーは,世紀の巨人と呼びうる人物であったのである。
目次(内容と構成)
推薦の辞
まえがき
Ⅰ ヴィクトル=ユゴーの生涯
一、砲声と軍馬の蹄の音のさなかに
二、王政復古と文壇への登場
三、栄光と挫折
四、クーデターに抵抗して
五、共和主義のシンボル
Ⅱ ヴィクトル=ユゴーの思想
一、文学の解放――ロマン主義の文学理論
(1) 古典主義からロマン主義へ
(2) 『クロムウェル』の「序文」と『エルナニ』の初演
(3) 『ノートル=ダム・ド・パリ』
二、社会参加の文学
(1) 文学と社会
(2) 『リュイ・ブラース』
三、政治の季節――一八四八~五一
(1) 『懲罰詩集』
(2) 騒乱の中で
四、神秘思想と巨大な作品群
(1) 『静観詩集』
(2) 『諸世紀の伝説』と『レ・ミゼラブル』
年譜
参考文献
さくいん