内容紹介
一七世紀のヨーロッパにおいて最も繁栄し,信仰において最も自由で,寛容な国と見なされていたオランダ。スピノザはこのオランダにユダヤ人として生まれたが,聖書研究によってユダヤ教に批判的となり,ついには教団から破門される。その後,いかなる教会・宗派にも親しまず,自由な哲学者として独自の道を歩む。人間の自由,それは社会的には言論・思想の自由,市民の自由であり,哲学的には人間の救済を意味した。この時代に,自由を哲学的思索の全面に展開し,倫理・宗教的深みに達したのは彼のみである。
目次(内容と構成)
まえがき
Ⅰ スピノザの時代
一七世紀のオランダ
宗教と文化
ユダヤ人社会
Ⅱ スピノザの生涯
破門以前
破門後の生活と研究
晩年
Ⅲ スピノザの思想
著書と論文
神とは何か
人間の精神について
人間の感情について
人間の隷属について
人間の自由について
宗教と政治について
あとがき――スピノザの影響
年譜
参考文献
さくいん