内容紹介
杜甫は,たしかに古い時代の人であるが,その作品は,時間を超えて,読む人に限りなく新しい刺激と感動とを与え続けている。杜甫の言語造型の苦心は,探れば探るほど,深く観察すれば観察するほど,ある種の「ものすごさ」を人々に感じ取らせる。杜甫は驚くべき,超時間的な価値を示し続ける詩人である。杜甫を「詩聖」だとするのは,中国の限られた風土と歴史の中でそうなのではなくて,全世界的視野から見ても,やはりそうだといってよい。こういう詩人はめったに現れるものではない。
目次(内容と構成)
はしがき
Ⅰ 杜甫の文学時代
杜甫とその時代
祖父杜審言の活躍
盛唐の文学と杜甫
杜甫の交友
岑参と杜甫
李白と杜甫
王維と杜甫
高適と杜甫
Ⅱ 杜甫の生涯
杜甫の家系・家族
長い放浪生活
社会詩人への脱皮
役人生活と「詩史」
「三吏三別」と免官
放浪の旅立ち
成都の時代
晩年の旅 ――江上の放浪
Ⅲ 杜甫の文化的思想
古典主義詩人の自覚
言語造形の格闘
たゆみなき脱皮と前衛芸術の可能性
「詩聖杜甫」の評価
杜甫年譜
さくいん