内容紹介
河上肇はわが国におけるマルクス主義経済学の開拓者である。しかし河上の思想家としての魅力は,決してマルクス主義や経済学といった分野の専門的な興味につきるものではない。おおよそ日露戦争の頃から15年戦争の時期にいたる,近代日本の最も波乱にとんだ三〇余年を,彼は常に思想界の最前線で,時代と深くかかわりながら生き抜いた。彼は時代の提起する課題を避けることなく,常に全力をあげてこれに取り組んだ。この真理探求の情熱,思想的誠実さといったものが,たまらない魅力として,多くの読者の心をとらえるのであろう。
目次(内容と構成)
はじめに
第一章 生いたち
第二章 青年期の思想形成
一 社会問題への開眼
二 「無我苑」事件まで
第三章 経済学の研究
一 京大赴任前後
二 唯物論か唯心論か
第四章 マルクス主義の研究
一 抜きがたき人道主義
二 新たなる旅立ち
第五章 理論から実践へ
第六章 宗教論への傾斜
第七章 晩年
河上肇年譜
参考文献
さくいん