内容紹介
わが国の戦国乱世にも似たルネサンス時代のイタリア。マキアヴェリはこんめい記に渦巻いた政治的陰謀,虚偽,悪徳を冷厳な目で見,あるがままに『君主論』に記した。しかるに後世は,彼を悪の張本人,この書を悪魔の書として告発し続けた。いったい,マキアヴェリの実像はどうだったのか。この書の本当の意図は何だったのか。ルネサンスの光と陰の交錯する中で浮き沈みした人間群像は,読者を知的興奮に誘うとともに,五〇〇年後の今日,マキアヴェリの懍冽たる精神から学ぶべきものを知るであろうと思う。
目次(内容と構成)
まえがき――マキアヴェリとわたくし
Ⅰ マキアヴェリの時代
フィレンツェの発展
メディチ家盛衰記
イタリア諸国の情勢
Ⅱ マキアヴェリの生涯
共和政庁にはいるまで
東奔西走
照る日曇る日
著述活動
Ⅲ マキアヴェリの思想
ローマ讃歌――『政略論』の世界
マキアヴェリズムの実像――『君主論』の世界――
運命と必然――歴史の世界
Ⅳ マキアヴェリの影響
絶対主義時代のマキアヴェリ
十九世紀のマキアヴェリ
現代のマキアヴェリ
年譜
参考文献
さくいん