内容紹介
正岡子規の名は、近代文学において不朽である。彼は俳人であり、歌人であり、写生文家であった。同時に彼の生涯は病魔との闘いの連続であった。
「写生」を基盤とした俳句革新、短歌革新、写生文創始などの業績は、かれの小さな病室でなされたのである。しかし彼は野心家であった。日毎に衰弱していく肉体の中で、彼の野望は火のごとく燃えあがった。彼こそは短詩型文学の父であり、おそらく俳句や短歌が消滅しないかぎり、彼の名は永遠に伝えられるであろう。
目次(内容と構成)
第一編 正岡子規の生涯
不屈の一生
やさしい少年時代
大志を抱く―血気に燃えて―
野望の鬼
闘病のはてに―短く、たくましく―
第二編 作品と解説
革新の火―俳句―
寒山落木
俳句稿
写生の道―俳論―
俳諧大要
俳人蕪村
更に短歌を―短歌―
竹の里歌
既成歌壇攻撃―歌論―
歌よみに与ふる書
写生文の道―小説・随筆―
月の都
小園の記 その他
松羅玉液 墨汁一滴 病床六尺
仰臥漫録
年譜・参考文献
さくいん