内容紹介
かつて明治・大正・昭和の三代に渡って、永井荷風という一陣の風が吹き抜けて行った。風は語った。日本の文明を、日本の四季を、そして人の世のすさまじさと人間の悲哀を、・・・・・・
「自分は今までに一度びたりとも世間に対して厚かましく何事をも主張したり教へたりした事はない。自分は唯訴へたばかりだ。泣いたばかりだ。」(『紅茶の後』より)
今、私たちには風が残して行った言葉に、もう一度、心を向ける時が来ているのではないだろうか。
目次(内容と構成)
第一編 永井荷風の生涯
山の手の子
文学修業
洋行時代
戯作者的姿勢
独居凄涼
第二編 作品と解説
『あめりか物語』
『ふらんす物語』
「花火」と「散柳窓夕榮」
『腕くらべ』
『?東綺譚』
あとがき
年譜
参考文献
さくいん