一般書籍

人と作品

堀 辰雄

著者・編者 福田 清人 編/飯島 文・横田 玲子 共著
判型 新書
ページ数 184ページ
定価(税込) 1,320円
ISBNコード 978-4-389-40112-2
発行年月日 2017/8/28

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内容紹介

田舎へ行つて来いと言われたとき都築明はすぐ少年の頃、何度も夏を過しに行つた信州のO村のことを考へた。
 明はその元は宿場だつた古い村に、牡丹屋といふ夏の間学生達を泊めてゐた大きな宿のあつた事を思ひ出して、それへ問ひ合はせて見ると、いつでも来てくれと云つて寄したので、四月の初め、明は正式に休暇を貰つて信州への旅を決行した。
 明の乗つた信越線の汽車が桑畑のおほい上州を過ぎて、いよいよ信州へはひると、急にまだ冬枯れたままの、山陰などには斑雪の残つてゐる、いかにも山国らしい景色に変り出した。明はその夕方近く、雪解けあとの異様な赭肌をした浅間山を近か近かと背にした、或小さな谷間の停車場に下りた。(『菜穂子』より)

目次(内容と構成)

第一編 堀辰雄の生涯
 詩人の出発
  生いたちの秘密
  少年時
  友情
  軽井沢と犀星
  師・芥川龍之介
  母の死・詩人の出発
 死の季節
  夏の休暇・愛の最初の徴候
  『驢馬』の仲間たち
  堀辰雄と読書
  芥川の死
  不器用な天使
  死の季節
 美しい村
  プルースト・神戸への暗い旅
  美しい村・軽井沢
  愛と死
  「風立ちぬ」とリルケ
  「菜穂子」とモーリヤック
  『四季』の人々
  堀辰雄と若き詩人たち
 レクイエム
  王朝文学・悲劇の女性
  大和路・信濃路
  杉皮の家
  終焉の地
  敗戦・瀕死の床
  悼詞
第二編 作品と解説
 詩
 聖家族
 燃ゆる頬
 美しい村
 風立ちぬ
 かげろふの日記
 幼年時代
 菜穂子
 曠野
 堀辰雄の世界
年譜
参考文献
さくいん