内容紹介
明治、大正、昭和の三代を生きた作家は多い。しかし、三代を貫いた作家は少ない。まさに藤村こそが、三代を力強く生きぬいた作家である。
浪漫主義の詩人として出発し、自然主義の大家として活躍し、偉大な歴史小説家で終わった。しかも、いずれの分野の活躍にも、きっぱりと筋金が入っていた。どの一つをとっても、彼の偉大さを明示しないものはない。
その生涯は、必ずしも恵まれず、むしろ苦難にみちみちながら、ついにくじけることがなかった。粘り強く、地道に、しかも大きく生きた。我等が誇りとする近代日本の永遠の作家である。
目次(内容と構成)
第一編 島崎藤村の生涯
木曽馬篭と東京
悩める青春の心
青春の詩
自然主義文学の成立
パリの前後
大家の風格
第二編 作品と解説
藤村詩集
千曲川のスケッチ
破戒
春
家
桜の実の熟する時
短編集『嵐』
夜明け前
まとめとして
年譜
参考文献
さくいん