内容紹介
津軽の大地主津島家に六男として生まれ、旧家の重圧を感じて成長した太宰治は、青春の一時期、思想運動の渦中で苦闘した。間もなくその運動から離脱したかれは、裏切り者としての罪の意識にさいなまれながら文学に転身し、処女作『思ひ出』、つづいての『道化の華』で新進作家としての地位を築いた。以後、その絢爛たる才能を開花させ、『ヴィヨンの妻』や『斜陽』で脚光を浴び、さらにその生涯と文学との総決算ともいうべき『人間失格』を残した。玉川上水に投じその生涯にピリオドを打った太宰治は、人間の不安と苦悩とを集約的に描きつづけたユニークな現代作家といえよう。
目次(内容と構成)
第一編 太宰治の生涯
地主の子
青春
処女作前後
戦火の中で
栄光と死と
第二編 作品と解説
晩年
ダス・ゲマイネ
姥捨
富嶽百景
走れメロス
津軽
お伽草子
ヴィヨンの妻
斜陽
人間失格
年譜
参考文献
さくいん