内容紹介
父との対立―内面的葛藤は、志賀直哉の全青年期を支配した「一大精神課題」であったとともに、「生涯最大の劇」でもあった。父に対立し反抗し苦悩した彼は、かえって創作と実生活への強い意志を示したのだった。志賀文学は絶対的な自我肯定の道を辿りつつ発現されたものだった。ここに「志賀直哉は日本文学の故郷」や「小説の神様」などと呼ばれたりした一因があった。しみじみと、それでいて強く深い感動を与える彼の数々の短編をはじめ、唯一の長編小説『暗夜行路』は、日本文学の代表作品として、また小説の一つの理想形として、多くの愛読者をえているのである。
目次(内容と構成)
第一編 志賀直哉の行路
幼少年期
青年期
和解から調和へ
静かな創作生活
第二編 作品と解説
三つの処女作品
処女短編集『留女』
清兵衛と瓢箪
城の崎にて
和解
小僧の神様
暗夜行路
灰色の月
年譜
参考文献
さくいん