内容紹介
宣長の学問は,若き日の京都で味わった青春の情感をぬきにしては語れない。この情感が平安の和歌,物語の中で確実に追体験されたとき,宣長の「もののあはれ」の思想が生まれた。宣長の古典研究は,厳密な考証の学であったが,それはそのまま彼の思想だった。宣長の学問は人間の情感こそ,人間の真実だという彼の思想を基礎とし,その思想の確認を内に包んで築かれる。宣長が半生涯をかけた『古事記』の研究も,それにほかならなかった。
目次(内容と構成)
はじめに
Ⅰ 青春の人間像
宣長をめぐる環境
幼少年期の宣長
京都遊学
Ⅱ 宣長学の完成
研究者宣長
市井の人として
宣長学の宣揚
晩年
Ⅲ 主情主義的人間観の形成
青春の思想
和歌と人間――『あしわけをぶね』
「物のあはれ」と王朝社会
Ⅳ 古道と人間
『古事記』の研究
古道論
古道と真心
Ⅴ 古道と政治
本居宣長の政治思想
結びにかえて――本居宣長と学問
あとがき
年譜
参考文献
さくいん